QCSC (Quantum Computing System Center) は、九州大学大学院システム情報科学研究院の基本方針である「I(Information Science)とE(Electrical Engineering)の融合」を柱とし、情報処理のための道具としての量子コンピュータのあるべき姿を探求します。現代のコンピュータは、システム階層を明確に分離し、相互のインタフェースを定め、各階層内での改善や最適化を推し進めることで進化してきました。しかしながら、量子コンピュータは今まさに萌芽期にあり、システム階層構造そのものの探求が必要です。

そのためには、コンピュータ・アーキテクチャを中心とし、物理・材料・デバイス・回路といったハードウェア分野と、システムソフトウェア・アルゴリズム・アプリケーション・理論といったソフトウェア分野を有機的に連携させ、システム階層全体を俯瞰した協調設計(コデザイン)を行う必要があります。加えて、産業応用・社会実装を見据えた上で、量子と現代(古典)コンピュータを連携させ、次世代情報処理基盤としてどのようなシステムアーキテクチャを構築すべきか探索しなければなりません。

これらの課題に挑戦すべく、本センターでは、量子計算アルゴリズム部門、 量子計算ソフトウェア部門、量子計算アーキテクチャ部門、量子計算デバイス部門、量子計算応用探索・社会連携部門、を設置し、これらの部門が密に連携した研究開発を推進します。そして、「I&Eの研究力」を最大限に発揮し、①情報処理基盤としての量子コンピュータのあるべき姿の探求、②新しい量子ビットの探索、③ハードウェアとソフトウェアの両面を捉えた量子人材育成、④量子コンピューティング技術の社会応用展開、に貢献します。

2022年3月1日
センター長 井上 弘士